福岡高等裁判所宮崎支部 平成5年(ム)3号 判決 1994年1月26日
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井一二六五番地五
再審原告
伊藤イエノ
東京都千代田区霞が関一丁目一番一号
再審被告
国
右代表者法務大臣
三ケ月章
宮崎県西臼杵郡高千穂町大字三田井一三番地
再審被告
高千穂町
右代表者町長
稲葉茂生
主文
本件再審の訴えを却下する。
本件再審の訴訟費用は、再審原告の負担とする。
事実及び理由
一 本件再審の趣旨及び理由は、別紙「再審訴状」記載のとおりである。
二 そこで、検討するに、再審原告は、福岡高等裁判所宮崎支部が同庁平成四年(ネ)第一三三号損害賠償請求控訴事件につき平成四年一一月二五日言い渡した判決(以下「原判決」という。)には、民事訴訟法四二〇条一項六号、九号の再審事由があると主張するが、六号の再審事由については、再審原告は、原判決を不服として上告した際にも既に主張していたものであるばかりか、本件において同条二項の要件の主張立証をしないし、本件記録によれば右要件に該当する事実はないものと認めることができる。また、九号の再審事由については、再審原告の主張自体失当であるし、本件記録により何らの判断遺脱もないものと認められる。
したがって、本件再審の訴えは、再審要件を欠くので不適法であり、その瑕疵は補正できないものと認められる。
三 よって、本件再審の訴えは不適法であり、補正することができないので、民事訴訟法二〇二条により口頭弁論を経るまでもなく却下することとし、訴訟費用について同法八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 鐘尾彰文 裁判官 中路義彦 裁判官 郷俊介)
別紙
再審の趣旨
右当事者間の福岡高等裁判所宮崎支部平成四年(ネ)第一三三号損害賠償請求事件について同裁判所が平成四年十一月二十五日言渡し、同年十一月二十五日確定した左記の判決はその手続きに、次のような重大な瑕疵がありますので、再審を申立てます。
右、事件の訴訟費用、及び本件再審費用はすべて本件再審被告らの負担とする。
主文
一、原判決を取消す。
二、被控訴人国は、控訴人に対し、金二百三万七千三百二十五円を支払え。
三、被控訴人高千穂町は、控訴人に対し、金百万四百四十九円を支払え。
四、訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
再審の事由
一、原判決の確定
冒頭記載の原判決は、貴裁判所民事部第二審に係属し、平成四年十一月二十五日言渡され、同年七月十七日、原判決表示の被告にその判決の正本が送達され、同年十一月二十五日の経過によって確定した。
二、再審事由となる瑕疵
ところで上記の訴訟手続きには、当事者間の福岡高等裁判所宮崎支部平成四年(ネ)第一三三号並びに、第一審宮崎地方裁判所平成三年(ワ)第一〇〇号損害賠償請求事件に於て、被控訴人の提出した宮崎地方裁判所民事部への乙第二号証は明らかに偽造されたものであります。
控訴人は、右の事実に基き、生存権の回復を求めていずれも追及申請しましたところ、平成四年十月八日に控訴審に対して、控訴人が提出した準備書面が受託裁判官の法令違反により不陳述と認定され、証拠調べの目的を達することなく、審理不尽で控訴審が言渡されました。
このことは、公権力の濫用であり、控訴人の生存権を無視されたものであります。
右の瑕疵は、民事訴訟法第四二〇条第一項第六号、第九号に該当します。
従って、この事実を看過してなされた最高裁判所の判決にも重大な違法があります。
控訴人は、平成五年四月二十二日、言渡された判決について、受託裁判官のなされた裁判に不服があり、法令に違背し承服できませんので、抗告状を平成五年四月三十日提起しました。
平成五年六月二十九日上記抗告状に対し、主文の通り最高裁判所のなした判決には不服申立できないと却下されましたが、控訴人は生存権の回復を求めて平成五年七月二十五日提訴し、(ヤ)第二一一号に係属し、漸く、高訴審差戻しの指示を得て、平成五年九月十五日宮崎地方法務局に赴き、上席訴務官に面接し、右陳述指示を得て、はじめて再審事由を知りました。